29 歳-31 歳はじめての不動産投資

略歴

  • 29歳株式会社グローバル入社(2010.2)
  • 29歳1軒目の投資物件を150万円で購入(2010.6)
  • 31歳2軒目の投資物件を6,300万円で購入(2011.10)

高校時代の親友がはじめた会社に合流
「自分が食べるものは自分で稼ぐ」というスタンス

 谷口が興した会社は「株式会社グローバル」といいます。私は2010年2月に大起建設を辞めて合流するのですが、会社は2009年にはスタートしていました。
 事業内容は、彼が以前勤めていた介護に関する通信教育がメーンです。前会社からのれん分けしてもらった格好で、島根・鳥取を中心に出張型の講座を行っていました。私が入った時点で正社員は4人、あとは外部の講師が数人。事務所は八木にありましたが、5月には交通の便利な上安に移りました。
 私は役員という形でグローバルに入りましたが、先にスタートしていた介護事業に世話になったわけではありません。グローバルは「自分が食べるぶんは自分で稼ぐ」というスタンスでした。谷口たちの“介護事業部”に対し、私はひとりで“不動産事業部”をやっているという形。それぞれが別々に行動し、互いに融合できるところがあったら融合していこうという緩い共同体のような雰囲気でした。
 このあたりの付かず離れずな感覚は、もしかして私固有のものかもしれません。私は親友でも友人でも常に一定の距離を保つ癖があるのです。
 例えば谷口とは高校時代からの親友で、何度も彼の家に泊まりに行ったことがありますが、これまで一度もケンカをしたことがありません。お互い強い口調でしゃべることもないし、感情的になることもない。そういういい距離感の中で付き合ってきたのです。
 それは他の友人に関しても同じです。私はどうも人間関係においてベタベタしないところがあるようで、「おまえが~」とか「こいつが~」みたいに、互いの胸の中にドカドカ入り込むようなことはほぼありません。
 ずっと野球という集団競技をやっていたのに、それは不思議なことだと思います。だからといって人付き合いが悪いわけではないし、今でもお酒を飲んでバカをやることは結構あります。ただ、集団の中にいても混じりすぎないのです。
 それは私が一人っ子だったせいなのかもしれませんが、私の現在の“ひとり不動産屋”という形態はそこからはじまっているような気がします。

友人のために物件を探していて出会った一戸建て
これから自分でも回せるんじゃないかと火が点いた

 大起を辞めたのは2月で、私はそこから株式会社グローバルで不動産を扱うための免許の申請をしました。
 法人の場合、申請が受理されるまで2カ月かかります。なのでグローバルに不動産業の免許がおりたのは4月になるのですが、この4月というのが問題でした。
 不動産の動きには波があります。みなさん想像つくように、基本的には1~3月が繁忙期です。4月にはいったん落ち着きますが5月の連休に引っ越ししたい人がいるので、まだ物件は動きます。それがゴールデンウィークが終わるとパタッと止まり、6月は一年でもっともヒマな時期。7月以降は9月の移動に合わせて少しずつ動きが戻ってきて、10~11月はもう一度ピークを迎えます。そして12月になると年末の準備でまた動かなくなる――というサイクルを繰り返します。
 それに照らし合わせてみると、グローバルは4月に免許が取れましたが、その時期はもう山を越えている状態です。春の移動の大部分はすでに終わってしまっている時期でした。
 そもそもグローバルでは谷口の方針もあって、仲介業を中心にやっていくことに決めていました。個人的には物件を仕入れて販売することもやってみたいと思っていましたが、谷口としてはあまり借金はしたくないし、物件を持つリスクは避けたいということでした。
 なので私は見よう見まねで、まずは賃貸仲介に乗り出しました。これまで回っていた不動産屋を歩いて「管理物件の空き部屋情報を下さい」とお願いします。ファクスをもらうと部屋を見にいき、ひたすら写真を撮ってグローバルのホームページに掲載します。
 またしても地道な作業です。それに、できたばかりの不動産会社のホームページなんて誰も見るはずがありません。さらに追い打ちをかけるように、ピークを越えた4月スタート……反応なんてほとんどないし、成約なんて夢のまた夢です。
 グローバルに入って最初の2~3カ月はずっとそんな状態でした。コツコツとホームページを埋めていくだけで、成約ゼロ、収入ゼロ……。
 そんな中、6月に古い友人から声がかかります。「資材置き場を探しているけど、一戸建てでいい物件はないか?」ということでした。
 私は彼にいくつか物件を紹介したのですが(結局、彼がグローバル不動産部門の成約第一号になりました)、そのときひとつの気になる物件に出会います。
 それは250万円の一戸建てで、友達が求める条件には合わず断りを入れるつもりでした。物件の管理をしている会社に鍵を返すとき、ふと思い立って「これ、もっと安くなりますか?」と尋ねてみました。すると「大家は早く手離したいみたいだから安くなると思うよ」「僕が買うと言ったら、いくらにしてくれます?」「150万円でいいよ」……。
 ちょうど時期もよかったのでしょう。2010年は景気が悪く、不動産は底値でした。今では考えられない話ですが、250万円の物件が150万円まで落ちるような時代です。
 これだけ値段が下がったら私でも回せるのではないか?……頭の中でこれまで培ってきた収支のシミュレーションが動き出しました。
 私はせっかく不動産屋になったのだから、ずっと自分で物件を持ちたいと思っていました。しかし、谷口はリスクを抱えるのは好きではないので、グローバルではそれはできません。
 だったら個人でやればいいんじゃないか?……それは私の初めての不動産投資がはじまる瞬間でした。

私は間取りを見るとすぐ、どこをどう変えればいいか
リフォーム後の家の姿がイメージできるのです

改めてその物件の情報を整理しましょう。

物件1
所在 広島市安佐南区相田7丁目
構造 木造2階建
土地面積 81㎡
建物面積 58.79㎡
築年数 昭和54年
間取り 3DKから2LDKに改装
賃料 年間744,000円
備考 平成25年に490万円で売却

 物件は私の地元である広島市安佐南区相田にありました。私の住んでいる地域の隣の団地であり、私にとっては、いわば庭のような場所です。昭和54年の物件ですから、当時すでに築30年は超えていました。
 2階建ての一戸建てで古い3DKです。2階に和室が2部屋あり、1階には和室が1部屋と狭いダイニングキッチン。風呂とトイレはボロボロでした。
 この家が特殊なのは立地場所でした。高台を削って作っているので、斜面をL字に切ってそこを車庫にしています。1階のダイニングから車庫の屋根までは、縁側から庭のようにつながっていて、車庫の屋根もテラスのように使うことができます。
 そこは売りに出されてから1年以上空いている物件でした。きっと今だと300~350万はする物件ですが、とにかく当時は不況の真っ最中でした。だから大家は早くこの物件を手離したい一心で、簡単に値引きに応じてくれたのです。
 私はこの物件を見たとたん「やりたい!」と思いました。
 まず1階の和室とダイニングキッチンの間の壁を壊したら、ひとつの大きなLDKになるイメージが湧きました(8畳以上の広さでLDKを名乗ることができます)。あと、縁側から車庫の屋根に続くスペースをドッグランにすることにしました。下に人工芝を敷けば、リビングからそのままペットが出ていける庭として使えます。
 つまり現状の3DKを2LDKに変更して、ターゲットを「子どもが小さいか、お子さんはいなくて、なおかつペットを飼っている夫婦」に絞ろうと思ったのです。
 私は間取りを見たとき、この物件をどうリフォームしたらよくなるか、どこをどう変えたら借り手がつくか、すぐに発想が湧きます。「ここは壊していい壁か?」「ここが仕切られているのはもったいないな」……リフォーム後の家の姿がイメージできるのです。
 この物件で施した大きな変更は2カ所――3DKを2LDKに変えること。ペット可の物件にして庭をドッグランに改装――でした。あとは水回りをきれいにするくらいです。
 物件を購入するにあたり自己資金を投入するかどうか迷いましたが、今回はすべて銀行から借りることにしました。銀行に相談に行くと、収支のシミュレーションを持ってきてくれと言います。
 それは大起のときにさんざんやってきたことでした。私は大起のときと同じように市場調査を行い、大起のときにお世話になった工務店にリフォームの見積もりを頼み、銀行に収支計画書を提出しました。見事に合格。無事に融資が下りることになったのです。
 そして、2010年6月に物件を購入。
 それが私の初めての投資物件となりました。

家を売る(貸す)ということは単なる売買ではない
不動産業は住人のライフスタイルに関わることである

 この物件は150万円で購入し、リフォームには150万円かかりました。トータル300万円。それを5年で借りることにしたので、月々の支払いは53,000円です。
 一方、家賃の設定は62,000円。そこから銀行への支払いを引くと月のもうけは9,000円。固定資産税は安かったのですが、ほとんど手残りはないという状態です。いろいろやった割にはプラスマイナスはゼロです。
 それでも私は構いませんでした。特に今回は初めての不動産投資。どうせ5年後には銀行への支払いを終えてプラスになるわけで、損さえ出なければそれでいい、どんなことでも勉強になるし、とにかくまずはやってみたい――そんな気持ちで取り組んでいました。
 物件はリフォームが終了した8月末から募集をかけたのですが、なかなか決まりませんでした。やはり8月はシーズンオフ。問い合わせ自体が少ないのです。
 入居者が決まるまでは気を揉みました。大家としてまったく収入はないし、銀行の支払いは待ってくれませんから当然心配になります。
 物件は10月から問い合わせが増えて、最終的には11月に決まりました。入居されたのは犬を2匹飼われていて、これから結婚しようという30代前半の新婚夫婦でした。話を聞くと、ペット可といっても「小型犬1匹のみ、猫は不可(やはり猫は爪とぎなどで柱を傷つけるので大家に嫌われがちです)」という物件が多い中、ペットを何匹飼ってもいいという条件に引かれたいうことでした。
 結局8月末から募集して入居が決まったのが11月。3ヶ月間は持ち出しでしたが、ようやく一安心となります。
 ただ、入居が決まったからといってすべて終了したわけではありません。契約が決まって以降もいろいろ問題は発生しました。換気扇の調子が悪いとか、隣家と近い部分に湿気が溜まってトイレにカビが生えるとか……。
 これらはすべてが勉強になりました。いざ住んでみたいら問題はいろいろ発生するし、そうならないためにも雨漏りや湿気の部分は早めに対策を考えておいた方がいい――物件を見る上での自分なりのチェックポイントが増えたという感じでした。
 ちなみに入居した新婚夫婦は、その後、家を買いたいといって出ていき、次に入ったは40代で犬を5匹飼われている女性の一人暮らしの方でした。彼女は「犬のためにずっとエアコンを付けているので、何かあれば自動で消える設備をつけてほしい」というちょっと変わったリクエストをしてこられました。
 そういうことを経験すると「家を売る(貸す)ということは、単なる売買ではないんだな」ということを痛感します。それぞれのニーズに合わせていろんなタイプの物件があり、借り手の生活の変化によっても新たな物件が必要になります。
「不動産業というのは住人の方のライフスタイルに関わることである」――というのは私が実際に不動産業に携わる中で学んだ、大事な教訓となりました。/p>

最初の物件で、住人の入れ替えから売却まで
一通りサイクルを経験できたのは大きな財産になった

 ちなみにその物件は最終的にどうなったのか?
 物件購入から2年半後、私はこの家を460万円で売却しました。その犬5匹飼っておられる女性が入居している状態で売ったのです。
 買い手は投資家のおじいさんでした。私はこの物件を投資用として520万円でホームページに載せていたのですが、その投資家の方から連絡があり、460万円でお売りすることにしました。もう建物も古く雨漏りもしていたので、いい頃合いだと思ったのです。
 業者を挟まない個人間売買で、権利も管理も譲渡しました。入居者の女性には「オーナーが変わるので連絡先も家賃の振込先も変わります」とお伝えしました。最初は不安がられましたが、ちゃんと話すと納得してくださいました。
 入ってきた460万円で銀行に融資の残りを返済し、もろもろの税金を払ったら手元に残ったのは90万円でした。それに2年半ぶんのプラスの家賃を加えれば、おそらく100万円くらいのもうけになるでしょうか。それが私の最初の不動産投資の収入でした。
 私としては、もうけよりも大きかったのは、これで不動産のサイクルを一通り経験できたことでした。物件を見つけてきて購入、銀行と交渉、リフォームを発注、入居者の募集、不動産屋へのPR、人が入ってからの対応、人の入れ替え、最後は売却まで……物件を売却した場合、どれくらい税金がかかるのかということも経験しないとわかりません。2年半のサイクルで最初から最後まで、不動産の流れをすべてを把握できたのは本当に大きいことでした。
 他にも学んだことはたくさんあります。
 例えば物件を売却をする際にかかる税金ですが、個人が5年以内に自分が住む家以外を転売すると、利益に対して39%の税金がかかります。これはかなり高めの税率ですが、設定されたのがバブルの時期。素人の土地ころがしを抑制するために、短期の譲渡所得税は高くしてあるのです。税額は5年を超えると25%に下がるので、個人で買われる方は5年以上は持った方が賢明です。
 あと、実際物件を持ってわかったのは、物件を持っているとそこからいろんな利益が発生するということです。出ていく人がいたらその人の求めに応じて新たに物件を仲介したり、リフォームの工事の口利きをしたり。「物件を持つとこんなメリットがあるのか」というのはやってみてわかったことでした。
 さらに、これも物件を持ってみて思ったのは「物件は売りたくなくなる」ということでした。最初は投資用として購入したはずなのに、持っているうちに次第に愛着が湧いてきて、手離せなくなるのです。
 私の場合はいい話が舞い込んできたので手離すことができましたが、愛着のせいで建物の適正価格が見えなくなって、売り時を逃してしまうことも多々あるようです。
 そういったことをすべてリアルに体験できたのは、この先、不動産投資をやっていく上で私の大きな財産になりました。

不動産投資とはリスクといかに付き合っていくか
リスクを分散させるためには多くの物件が必要になる

 1軒目はそのように進みましたが、では2軒目はどうだったのでしょう?
 私が2軒目の物件を購入したのは2011年10月です。1軒目を購入したのが2010年6月。その確定申告を終えた頃から再び動きはじめました。
 最初は東広島の200万円の物件を見つけて、銀行に相談に行きました。すると銀行側は「今回はもっと規模の大きい物件にして、ちゃんと利益が出るようにしましょう」と言って、その物件を却下してきます。ちゃんと利益を出すためには、かなりの規模が必要です。私はもっと範疇を広げて、物件を探すようになりました。
 当時は震災直後で景気が一番悪い頃でした。広島でも一棟もののマンションが大量に売りに出ていて、かなり割引がされています。
 そんなとき、私の興味を引いたのが下の物件でした。

物件2 ボービラージュ中野東
所在 広島市安芸区中野東3丁目1-20
構造 軽量鉄骨造2階建 2棟
土地面積 1337.14㎡(404.49坪)
築年数 平成5年6月
間取り A棟3LDK×4戸 B棟3LDK×6戸 計10戸
賃料 年間8,088,000円
備考 現況満室

 この物件が7,000万円で売りに出ていました。不動産屋に相談すると「値段、下がりますよ」と言います。どうやら先代が経営していたマンションを息子兄弟が相続したらしいのですが、彼らは素人で、なおかつ物件がほったらかしになっていることを面倒くさく感じている。だから早く手離したいということでした。
 私はこの物件を6,300万円で購入しました。1軒目が150万円だったことと比べると、ものすごい額面のアップです。
 金額が大きくなることへの不安は、正直ありませんでした。怖がらない時点で神経がおかしいのかもしれませんが、それより私としては「理想的な方向に早く行けたな」という気持ちの方が強くありました。
 そもそも私はそれほど早急に不動産投資でお金を稼ぎたいとは思っていませんでした。最初の10年くらいは利益が出なくても構わないので、こつこつ物件を増やしていき、将来的に返済が終わって家賃収入が入ってくればいい、田舎で農業でもしながら副収入として家賃収入があればいい――くらいのイメージでした。
 ただ、高額を動かすことに怖さを感じなかった最大の理由は、自分の作った収支のシミュレーションを信用していたせいかもしれません。どんなに額が大きくてもプラスとマイナスの帳尻が合っていれば、それは成立するのです。
 しかも、この物件を買ったことで、最初に買った相田の一軒家が空き家になっても、ここの家賃収入でカバーできるようになりました。特にこれはマンションで10戸もあるので、住人が全員出て行って家賃収入ゼロという可能性は著しく低下します。
 私がここで学んだのは「数を持つことでリスクは分散できるし、リスクを分散するためには数を持たなきゃいけない」ということでした。
 買えば買うほどリスクを避けるために新たな物件が必要になります。そしてさまざまな手段でリスクは分散させていかなければなりません。例えばこのマンションも10戸ありますが、ここで災害が起こったらすべてアウトになってしまいます。
 だから場所の分散も必要だし、間取りの分散も必要……分散が安心につながるのです。言い方を変えると、「不動産投資とはリスクといかに付き合っていくか」と考えることもできるでしょう。

私の目的は大家産業で地盤を固めて不動産業に集中すること
ただ、2棟目で働かずして食える状況は手に入った

 中野東のこの物件、私が買ったときは10部屋中5部屋が空いている状態でした。建物は築16年で、私から見れば家賃設定が新築当時のままになっていて高いと感じられました。
 このマンションで私が大きく変えたのは2カ所です。まず相場のシミュレーションをして「家賃を下げてもこれだけ儲かる」ということを銀行に提示した上で、家賃を下げました。駐車場別の68,000円から、駐車場込みの64,000円へと下げたのです。
 そしてもうひとつは、以前からペット可でしたが、1匹だけしか認めていなかったところを「何匹でも可」という条件に変えました。あと洗面台を改装したり、和室を洋室に変えるなど細かい調整はしましたが、それにより翌年の2012年2月までにすべて満室となったのです。
 それにしても部屋が埋まるということは、不動産冥利に尽きます。「こうすれば埋まるんじゃないか?」「こうすればみんな住みたくなるんじゃないか?」と改装したことがその通りの結果になるのです。それはある意味、かつて高校野球の監督をやっていたとき、サインを出してそれが的中したときの快感に近いものがあります。
 ここはその後も常に満室の人気マンションとなりました。人が出てもすぐに誰か入るし、問い合わせも年中寄せられます。やはり「ペット何匹でも可」という部分が大きいのでしょう。大家はいやがりますが、ペット可の物件は数も少なく、みんな探しているのです。
 ちなみに私がこの物件を購入すると決めたポイントのひとつは、このマンションが建っている土地が気に入ったからです。ここの土地は長方形で使い勝手がよく、最終的にマンションが老朽化したときは建物を壊して、建売8戸は建てられると踏みました。
 物件を買うときは目の前の状態だけでなく、将来的にその土地をどう活用していくかも考えなければいけません。建て替えるのか、売ってしまうか――最終的にそこをどうするかまで考えて購入しないと、あとで苦労することになります。
 この中野東の物件はその後、どうなったのでしょう?
 この物件は今も私が所有しています。購入して今年で4年目。物件は購入後、いろんな支払いなどが終了して安定してくるのは3年目くらいからになります。
 ちなみに購入後にかかる費用としては、買って半年後にかかる不動産取得税(固定資産税評価額の3~4%)のほか、銀行の手数料や火災保険料……など。
 この物件は今、固定資産税を入れて10戸で月30万円程度の利益を生んでいます。ただ、無借金で月30万円というわけではないし、今後のメンテナンスのために積み立てもしています。物件が大きければ大きいほど直すところが発生したときの出費は大きいわけで、その部分で安心することはできません。
 ただ、この2棟目で私はいわば「働かずして食える」という状況は手に入れることができました。もちろんこれは大家産業であって、不動産業とは違います。私の目標は大家産業で食べていくことではなく、大家産業で地盤を固めて不動産業に集中することですから、これで満足しているわけではありません。
 しかし、どちらにしろ目的には近づいていると言えます。私はこの時期、やりたいことに近づいている満足感を覚えていました。

グローバルでも競売物件を競り落とし、
種類の違う物件を扱うなど着々と経験を積み重ねていく

 ちなみにその時期、グローバルで何をしていたかというと、競売物件を3棟競り落とし、その販売を行っていました。
 1棟はマンションで100万円かけて改装、2棟は一戸建てで、そのうち1軒はこちらもリフォームして販売、もう1軒は建物が古かったので、壊して新築を建てて売却――つまり「マンションのリフォーム」「戸建てのリフォーム」「戸建ての新築」とここでもすべて違う種類の物件を扱い、着々と経験を積み重ねていました。
 少し話は脇にそれますが、ここで競売物件についてお話をしましょう。
 競売物件は基本的に銀行が借金のカタに差し押さえているもので、裁判所が査定して競売にかけます。物件の資料は裁判所のホームページで公開されていて、誰でも閲覧することができます。
 競売物件は誰もが手を付けるものではありません。それはやはり問題があることが多いからです。まだ中に人が住んでいるケースもあり、その場合はこちらで立ち退き交渉もやらなければなりません。
 立ち退き交渉は大起建設時代に経験していましたが、グローバルで最初に競り落とした物件は中に入るとまだ家財道具が残っていました。きっと飲食店を営んでいたんでしょう、ナベやズンドウが置いてあったり、ランドセルが放り出されていたり……かなり生々しい状況です。
 幸いなことに、私はまだ中で人が亡くなった物件は扱ったことがありません。競売で見かけたことはあります。それは風呂場で住人が自殺した物件で、とにかく格安でした。
 もちろん物件を勧める際、中で自殺があったことは告知義務があるので必ず説明しなければなりません。それでも「安いなら気にしない」という人もいるし、それをわかって仲介する人もいます。
 そう考えると不動産というのは不思議な世界です。

家を借りるときは管理会社と直接交渉したほうがいい
その際には「抜き行為」にならないように注意して!

 だから、ここで私がお勧めしたいのは「家を借りるときは直接管理会社に行ったほうがいい」ということです。例えばアパマンショップなど大手のサイトで物件をチェックして、自分で現地に行ってみたらそこに古い「管理・〇〇不動産」という看板が貼ってあったりします。できれば、そこに直接連絡してみてください。交渉する窓口は、その管理会社に一本化するのが一番いいと私は思います。
 というのも、仲介を代行している不動産屋だと、物件に不都合な過去があったとしても「知らない」と言い張られる場合があります。持っている情報量も少ないので、不安がある物件を押し付けられる可能性もあります。
 しかし、管理を委託されている不動産屋だとそんなわけにはいきません。しかも直接やりとりすることでマージンも抜かれないし、一番大家と近い位置にいるので値引き交渉もやりやすいのです。時間も手間もかかりますが、物件を管理している不動産屋と直接話すのが一番いいのです。
 ただ、その際に注意しなければいけないのは、ある不動産屋に先にその物件まで案内してもらった上で別に業者に乗りかえると「抜き行為」と見なされることです。抜き行為をしたからといって罰せられることはありませんが、不動産業界では一度現地まで案内してもらうと、同じ物件を購入するのならそこで買わなければならないという義務(義理)が発生します。たとえ別の不動産屋で買った方が安いということが後でわかっても、もう変えられないのです。
 そういう事態を避けるためには、気になる物件があった際、まずは不動産屋に電話して「家が近いので番地だけでも教えてください」と聞き出すといいでしょう。一度案内されてしまうとその不動産屋に縛られてしまうので、なるべく直接接点を持たないように物件に近づくことが必要です。
 考え方としては、駐車場を決めるときと同じだと思えばいいのです。駐車場は「この場所に停めたいな」と思う場所に貼ってある看板を見て、管理元に連絡しませんか? それが一番健全なのです。
 もし住みたい家を見つけて、そこに大家が住んでいたら、直接大家を訪ねていくのもいいでしょう。大家も直接訪ねてきた住人にはよくしてくれることが多いです。やはりこんな世の中だからこそ、顔と顔が見える関係というのは重要なのです。

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