31 歳-34 歳“ひとり不動産屋”として生きる

略歴

  • 31歳3軒目の投資物件を1億1,000万円で購入(2012.4)
  • 32歳キャリアコンサルタントとしても活動
  • 33歳株式会社グローバル住まいるセンター設立(2014.1)
  • 33歳株式会社グローバルの役員を外れる(2014.2)
  • 33歳4軒目の投資物件を8,000万円で購入(2014.4)
  • 33歳5軒目の投資物件を3億7,000万円で購入(2015.1)
  • 33歳6軒目の投資物件を〇〇〇〇万円で購入(2015.2)

2棟目を買ったわずか3カ月後に3棟目を購入
「今が底値だ」という読みから一気に勝負に出た

 私が3軒目の投資物件を購入したのは、中野東の2棟目を買ったすぐ直後でした。西条にある4階建てのマンションが1億6,000万円で売りに出ていたのですが、1億1,000万円でいいと言われたのです。

物件3 コーポ円城寺
所在 東広島市西条町助実23-1
構造 RC4階建
土地面積 984㎡(297.66坪)
築年数 平成2年3月
間取り 4LDK×7戸 2LDK×11戸 1LDK×6戸 計24戸
賃料 年間14,456,000円 満室時15,636,000円
備考 現況空室1戸

 2棟目を買ったのが2011年11月、このマンションを買ったのが2012年4月。その間、たった5カ月しか空いていません。
 この2棟を一気に買ったのは「今が底値だ」という読みがあったからです。
 2006年、私が大起建設に入ったとき、不動産は飛ぶように売れている時代でした。そんなバブル期を経てリーマン・ショック発生。2009~2010年は広島でも章栄不動産やアーバン・コーポレーションなどの大手がつぶれるなど未曾有の不況に陥ります。
 2011年、震災の直後は賃貸の問い合わせなどまったくない状態でした。世間は完全に委縮していたのです。それが2012年になってからようやく物件が動きはじめます。やはり不動産には必ず波があって、いいときがあれば悪いときもあるのです。
「ここからは底値を抜け出し価格も上がっていくはず。今は融資がつくのだから、買うなら今しかない」――私はそう思って勝負に出たのでした。
 この物件はもともと、ある法人が所有していたものでした。定期的にメンテナンスも施していたため、設備も良質の状態です。その会社は現金がほしかったので売り急いでいました。だから1億6,000万円から5,000万円もの値引きに応じてくれたのです。
 不動産投資の本によく出てくる用語に「利回り」という言葉があります。「利回り=年間家賃収入÷購入額」なのですが、この物件は購入額が1億1,000万円まで下がったため、なんと利回りは12.8%。基本的に不動産投資は利回りが10%を超えていたら優秀、今は不動産価格が高騰しているので6~9%程度でも悪くないと言われていますが、その中で利回り12.8%とはどれだけ元値が安かったのか。今では信じられないような数字です。

これまで手掛けた3棟すべてでペットの条件を変更
自分もペットを飼っていたので、飼い主の気持ちがわかる

 私が買ったとき、この物件は24戸中6戸が空いている状態でした。どこに手を加えたかというと、やはりペットの部分でした。
 ここは以前はペット不可の物件でした。そこで管理会社の人に頼んで、まずは住人にアンケートをとってもらいました。
「このマンションをペット可にしたいのですが、どう思いますか?(家賃はそのままで)」。
 すると「出ていきます」と答えたのが18戸中2戸でした。その一方で「ペット可になっても住み続けたい」という回答もあります。そのバランスを考えた上で、私はペット可に踏み切ることにしました。これまで住んでいた人は家賃据え置き、新規入居者はこれまでの額面プラス3,000円に家賃を設定しました。おかげで現在空室は1戸だけという盛況ぶりです。
 もうお気づきの方もいるかと思いますが、私はこれまで手掛けた物件3軒すべてで、ペットに関わる条件を変更してきました。
 ペットの条件にこだわるのは、私が小さい頃から犬を飼っていたからでしょう。前の家では捨て猫を拾ってきて、犬と猫が同居していたこともあります。だからペットと暮らす人の気持ちがわかるのです。彼らがどのようにしたら喜んでくれて、安心して暮らしてくれる住まいになるのか――この部分は私の強みだと感じています。
 さて、先ほど申しましたように、2012年は震災の反動で不動産がよく動いた年でした。それゆえグローバル不動産部門の方もかなり忙しくなりました。
 当時私は個人事業主としての不動産業務と会社での不動産業務の両方を並行して行っていました。中野東の物件にしろ、借金を背負ってオーナーになったのは私個人ですが、その賃貸の仲介をしたのは会社という振り分けで、互いに協力しながらやっていました。
 ちなみに、当時グローバルはどうなっていたかというと、着実に成長を遂げていました。2011年後半からハローワークを通じた職業訓練の仕事を請け負うようになり、緑井の会場を中心にヘルパー講座を展開するようになっていました。
 そして、驚かれるかもしれませんが、私はその職業訓練の講師も務めていたのです。私が担当したのはヘルパー講座の中のマナー講座。講師要件に「教員の実績が3年以上ある」というものがあったのですが、冷静に考えると私はそれに当てはまります。教員免許も持っていますし、実際3年以上教壇に立っていたわけですからね。
 個人で不動産売買をしながら、同時に会社の不動産部門も統括しながら、しかも職業訓練の講師を務める……これはなかなか珍しいキャリアだと思います。
 その職業訓練の講師はほんのつい最近まで――2015年6月まで――やっていました。

会社ではキャリアコンサルタントとしても活動
多くの役割を兼任することで仕事の可能性は広がった

 ということで、2012年頃、私は職業訓練部門の担当者として、ほとんど緑井の事務所に駐在する生活を送っていました。
 最初はマナー講座の講師をしていたのですが、やがてキャリアコンサルティングの講習を受け、生徒たちの就職活動の面倒を見るようになりました。3カ月のコースの中で3回、受講生と個人面談をして、履歴書の作り方や面接の練習などを重ねていきます。つまり私はキャリアコンサルタントとしての活動もスタートしたのです。
 個人・会社では不動産を扱いながら、同時にホームヘルパーの資格を取るための職業訓練の現場でキャリアコンサルタントも務める――あまりの振り幅の広さに驚かれる方も多いと思いますが、逆に私はここが大事なところだと思います。
 なぜなら、いろんなジャンルが融合していることによって、それぞれの仕事の可能性は広がるし、互いに好影響を及ぼすことになるからです。
 例えば会社の仕事で介護施設の集まりに顔を出していると、「グローバルってどうして不動産部門があるの?」と質問されます。すると「施設を出ていく障害者の人がいて、住む家がないからどこか紹介してくれないか?」などと相談を受けるようになります。また、介護と不動産の両方がわかる人間として講演を頼まれたりもしました。
 少なくとも私は、介護や職業訓練などの世界に身を置いたことで人間的な幅も広くなったし、事業の幅も広がったという手応えがあります。
 そんな調子でやっているうちに、グローバルは2013年には正社員16人、パートを含めて40人が在籍する会社になっていました。
 介護部門は新たに「放課後児童デイサービス」という事業をはじめ、廿日市と五日市に3店舗をオープンさせました。これは養護学校や特別学級にいる子どもたちが放課後過ごせるスペースを用意し、職員が学校終わりに迎えに行って、夕方にはそれぞれの自宅に送り届けてくれるというものです。
 ただ、会社自体は大きくなっていきましたが、私のやっていた不動産部門は相変わらずひとりでした。仲介業などが忙しくなっても、契約書の作成などを含めて作業はすべて私ひとりがやっていました。今と同じ“ひとり不動産業”です。
 どうしてもっと人を増やし、不動産部門を拡大させなかったのか? それは、やはり人を増やすにはリスクが高いと感じたからです。
 賃貸物件を集めて仲介手数料でもうける形式の不動産業は、とにかく人と時間が必要です。人海戦術で利益を出していかなければならないのですが、そのくせ市場は不安定で先の読めないところがあります。私は「もし会社で物件を持っていて、なおかつ仲介をやるのならいいけど、物件を持たずにその不安定な海に漕ぎ出すのはリスクが高すぎる」と感じていました。
 一方でグローバルの方針も「不動産部門は仲介だけにしてほしい」というものでした。社長の谷口は「仕入れも3棟までが限界、億を超えない範囲でやってほしい」と言ってきます。会社は安定が最優先ですから、当然リスク回避を一番に考えます。そういう状況もあって、私はグローバルで物件を持つことを次第にあきらめるようになっていきました。
 きっとグローバルで物件が持てていたら、グローバル不動産部門の人員を増やし、仲介部門を充実させていたと思います。しかし、その道が閉ざされたことで、私は「このままだとこれ以上大きくなれないな」という限界を感じるようになっていきました。

介護、不動産の両部門で利益が出たことを期に分社化を決意
「株式会社グローバル住まいるセンター」を立ち上げる

 2013年は個人として物件を買うことはありませんでした。
 すでに3棟所有していましたし、この年はグローバルの仕事が忙しかったので、あまり時間的な余裕がなかったのです。また、当時は不動産価格も上昇していたので、いい物件が出なかったということもあります。
 そんな中で個人的に大きかったのは、銀行の金利が下がったことでした。
 そもそも、私は広島市信用組合から融資を受けて不動産投資を行っていたのですが、グローバルの取引銀行はもみじ銀行。あるとき、そのもみじ銀行の担当者が「市信用は金利3.5%ですか? うちは1.8%にしますから、全額借り換えてもらえませんか?」と提案してきたのです。
 そのことを市信用に話したら「だったらうちも下げます。3.5%を2.05%に落とします」と言ってきたのです。私はこれまでの付き合いを優先して、変わらず市信用にお世話になることにしたのですが、金利が下がったことによって月々の収入が175,000円も増えました。何もしていないのに1棟買ったことに近い現金収入が転がり込んできた――これも不動産投資をしていく中での大きな経験となりました。
 そして2013年末、グローバルが決算を迎えるにあたって私と谷口は話し合いの場を持ちました。
 というのも、その年、グローバルは介護部門も不動産部門も利益が出ていました。両方利益が出ると税金的に難しいことになるという話題から、「だったら分社化する?」という話になりました。
 これまで何度も話してきましたが、私はチャンスがあればもっと事業を拡大させたいと思っていました。物件を仕入れて、リフォームして、さまざまな業態に手を伸ばしたいと思っていました。
 一方の谷口は、会社に借り入れを増やすことはなんとしても避けたいという方針でした。そういう部分で私のやりたいことを押さえつけているということも、薄々感じ取っているようでした。
 だったらお互いのために別々の道を進んでいこう。会社を分けたからといって、2人の関係は変わらないはず――。
 私は2014年1月15日に「株式会社グローバル住まいるセンター」を立ち上げました。そして2月末に「株式会社グローバル」の役員を外れました。
 分社化はスムーズでした。もともと私がやっていた“ひとり不動産部門”の名前が「グローバル住まいるセンター」であり、介護部門の名前が「グローバル総合教育センター」。それぞれに株式会社を付けただけで、部署がそのまま法人になったという格好でした。
 グローバルでやっていた物件は、住まいるがすべて購入しました。八本松に4区画持っていたのですが、それを住まいるで引き取って今も販売しています。
 私と谷口の仲が変わらなかったのは、その後も私がキャリアコンサルタントとしてグローバルと関わり続けていたこと、そしてお互い“グローバル”の名前を背負って会社を継続していることが証明していると思います。
 私はグローバルの役員を辞めた後も、緑井での講師の仕事はアルバイトという形で続けていました。金銭的なことを考えればそんなことをやる必要もなかったのですが、私は講師の仕事が好きだったので、辞める理由がなかったのです。
 つまり名義が法人になって、勤める場所が自宅1階の今の事務所に変わっただけ――そして今に至る私の“ひとり不動産業”がスタートしたのです。

不動産は売る人の背景も違うし、私が購入する理由も違う
つまり、すべての物件には物語があるのです

 ここからは「株式会社グローバル住まいるセンター」になって以降の私の購入物件を紹介していきましょう。

物件4 メゾン原の前
所在 廿日市市大野原2丁目9-15
構造 A・B・C棟計量鉄骨造2階建 
E棟木造2階建
土地面積 1939.41㎡(586.71坪)
築年数 A・B・C棟:平成10年10月 
E棟:平成22年4月
間取り 3LDK×2戸 3DK×6戸 2DK×8戸 計16戸
賃料 年間10,572,000円
備考 現況満室

 2014年4月に購入した物件です。これはちょっと変わった物件でした。
 500坪の土地に4棟アパートが建っているのですが、その中に40坪ほどポコッと何も使っていない空き地があるのです。私はアパート経営とは別に、この空き地にも戸建てを建てて建売販売をすることにしました。
 ここも個人がやっていたアパートで、そろそろ相続が発生しそうだから現金に換えておきたいということでした。
 値段的には全部で8,000万円だったのですが、その40坪の空き地は600万円で「グローバル住まいるセンター」が買ったことにしました。するとアパート部分は7,400万円となり、利回りが上昇します。このあたりは法人と個人、両方を持っているからできる帳簿上のメリットだと思います。

物件5 周南老人ホーム
所在 山口県周南市大字久米字能万2676-1他
構造 鉄骨造3階建
土地面積 1865.27㎡(564.25坪)
築年数 平成18年12月
間取り 51室
賃料 年間27,600,000円
備考 ニチイ学館に一括賃貸中。契約期間残り21年

 これは2015年1月に購入した3億7,000万円の老人ホームになります。
 不動産の市場ですが2013年はすでに値段が高騰し、物件自体もあまり市場に出てこない状態になっています。そんな中、たまたま出てきたのがこの物件でした。
 多くの人は「老人ホームが売りに出ている」と勘違いして、老人ホームの経営までやらなければいけないと思っていたようですが、実際は「老人ホームが入居している建物が売りに出ている」という状態。しかも現在ニチイ学館が入居していて、契約もあと22年間残っています。
 これは初めて法人名義で買った物件になりました。仮にニチイが出ていったとしても、そのときは「グローバル総合教育センター」と一緒に運営すれば済むこと。そのような勝算もあって、ここを購入したのです。

物件6 グラビスコート舟入中町
所在 広島市中区舟入中町4-36
構造 RC10階建 総戸数36戸中21戸
築年数 平成20年1月
間取り 1K(27.88㎡他)
賃料 年間16,300,000円
備考 現況満室。21戸区分所有

 これは現状、私が購入した最新の物件になります。2015年2月に購入しました。
 この物件を面白いと思ったのは、35世帯ある投資用分譲マンションの21戸を持っていた人が売りに出したということです。私はまだ築年数も新しい1Kを21戸分、バラで買いました。
 利回り自体はそれほどよくありませんが、これは将来的にバラで売ることもできるし、バラで買い足して最終的に1棟まるまる持つこともできるという面白さがあります。
 そう考えると、これまで私はさまざまな物件を購入してきましたが、どれも1棟1棟に事情があるし、ストーリーがあることに気付きます。売られる方の背景も違うし、私が購入する理由も違う。そしてこれからたどる運命もきっと違う……。
 つまり、すべての物件には物語があるのです。
 私の経験を元に、不動産投資というものがただの金銭のやり取りを超えた、人間味にあふれた行為だということを感じてもらえればうれしいです。

今は不動産が高止まりして、新たに手を出しにくい時期
だったらここで一度自分の考えを整理してみようと思った

 さて、ここまで長きにわたって私のこれまでたどってきた遍歴を説明してきました。
 まったく不動産に興味のない野球部監督時代から、建築会社の営業を経て、いまの“ひとり不動産業”で食べていけるまで。決して簡単な道のりではありませんでしたが、しかし苦労に苦労を重ねてというほど大変だったわけではありません。
 なぜなら私が実際に物件を購入しはじめてから、まだ5年しかたっていないのです。私はわずか5年でここまで来ることができたのです。
 不動産投資をはじめた最初の頃の目標は「修繕費などをのぞいた安定収入が月100万円あればいい」というものでした。税金やメンテナンスとして積み立てるお金以外で、月100万円ほど稼げれば十分だと思っていました。
 それは2014年、廿日市市大野原の物件を買った時点で、ほぼ達成できました。しばらくは不動産取得税を払うのに大変でしたが、それを払い終えると次第にお金が溜まりはじめました。
 今回、みなさんに私の経験をお伝えしようと思ったのは、今がそのタイミングだったということもあります。何度もお話しているように、今は不動産価格が高止まりしていて、新たな物件には手を出しにくい状況です。特に広島は一棟ものが不足して、完全な売り相場になっています。実際、私は今、自分が持っている4つの物件(周南、中野東、西条、舟入)をまとめて12億円という高値で売りに出しています。
 ということで、ヘタに動くことのできない今、空いた時間を何に使うか?
 時間的にも金銭的にも余裕があるのなら、ここで一度自分の考えを整理するのもいいんじゃないか。それを興味のある方とシェアして、ビジネスパートナーとして組んでいくのもいいんじゃないか――そんなふうに考えたのです。

今は“ひとり不動産屋”でどこまで勝負できるか
自分が行けるところまで行ってみたい

 正直、現時点で私が個人で物件を持つのは限界に近づいています。買うとしたら法人名義で買うか、いま持っている物件を法人に移すしかありません。ただ、法人の方も今期は1億を超えているので、さらにその先へ行くとなると融資の規模も変わってきます。
 果たして、いま急いで拡大する必要はあるのか?
 これまでは収入を安定させるために次々と物件を購入してきましたが、今後は量的な拡大を抑えて質的な方向に目を向けていきたいというのが私の気持ちです。
 例えば太陽光発電を付けて光熱費をゼロにすることで、物件の付加価値を上げることができるでしょう。
 あと、いま考えているのは「どこまでひとりでできるのか?」という問題。現在不動産の世界ではすべてをインターネットで完結させる動きが出てきています。
 これまで物件を借りる際には、必ず宅建主任者が対面で重要事項の説明を行わなければなりませんでした。しかし今後はインターネットを使って、スカイプ上での説明でも許されるようになる可能性があります。
 そうなると、私のような“ひとり不動産屋”ができる仕事もグンと広がります。動画をホームページに載せることで物件の案内を省くことができます。鍵を遠隔操作で開閉できるようにして、部屋にカメラを取りつけておけば、私がいなくても物件を内見してもらうことができます。
 これまで賃貸の仲介・管理業は人手と時間がどうしても必要でした。ところがこうした時代の流れとテクノロジーを駆使することで、人手が少なくても十分に対応できるようになるのです。
 いま私は「今後もひとりでやっていくために必要なことは何だろう?」という視点から物事を考えています。多少儲けが出たからといって、ロードサイドに店舗を構えて、従業員を雇って拡大するということはしたくないのです。
 もしかして私は怖いのかもしれません。
 本心では私は若い子を育てたいという想いがあります。しかし、自分が野球部の監督だった頃を思い出すと、その想いが強すぎて、あまりにも厳しく接してしまうような気がするのです。
 私は山陽高校を辞めるまでは野球という集団競技の中で生きてきましたが、そこからは個人競技にシフトしました。ひとりで戦ってきた時間が長くなったせいか、部下を持つと過度に厳しく接してしまい、つぶしてしまいそうで怖いのです。
 だから今は、こうしてひとりでやっているのかもしれません。いつかは若い子に自分が培ってきたノウハウや方法論を伝えていきたいと思いますが、まだそういう時期じゃない。
 今は“ひとり不動産屋”でどこまで勝負できるか、自分が行けるところまで行ってみたい――そんな挑戦を続けたいと思うのです。

将来は子どもに関わる事業をやりたい
大事なことを中途半端にやらないためにお金が必要

 私にはたくさんの夢があります。
 分譲マンションという形式もやってみたいし、コンドミニアムも手掛けてみたい。海外の物件にも興味はあります。不動産の世界でもまだまだやったことのないジャンルはたくさんあって、それにチャレンジしていくだけでも充実した投資ライフを送ることは可能でしょう。
 しかし、正直なところ、私はもうこれ以上お金を増やしたいとは思っていません。自分が生活に困らず、会社がつぶれないと思えるだけの収入があればそれでいいと思っています。
 それよりも大事なのは……例えば私は将来、子どもや障害者、福祉に関する事業をやりたいと思っています。実は私には子どもがおらず、おそらく子どもを持たない人生を送ることになりそうなのです。
 私生活がそういう状態なので、なるべく子どもに関わる仕事をやりたいと思っているのですが、「利益も生まなければ」「自分の収入も確保しなければ」という形ではやりたくありません。
 正直、今もボランティアや寄付の話はたくさんいただきます。申し訳ないのですが、すべて断らせてもらっています。というのも、私は中途半端な状態で大切なものに関わりたくないのです。今は自分の基盤をしっかり作って、その上で建物を一棟寄付するとか運営を行うとか、そういう形で関わりたいのです。
 つまり、自分のやりたいことを好きにやるために、私はお金に困りたくない――別にコレクション的にお金を増やしたいわけではないのです。活用したいもののために純粋に使いたいからこそ、お金を大事にしたいのです。
 もしかして、それは幼い頃の祖母の言葉が自分の中に生きているのかもしれません。
 お金を軽んじることもなく、お金に踊らされることもない。「世の中、お金じゃないんだよ」というきれいごとも私は好きじゃないし、マネーゲームにも巻き込まれたくない――そういうことです。
 この章、最後になりますが、私にはみなさんにお伝えしたいことがあります。
 多くの方はサラリーマンの副収入として不動産投資を考えておられると思いますが、面白いことに副収入を持つことによって新しい発想がポンポン浮かぶようになります。「余裕がアイデアを創る」と言っては言い過ぎかもしれませんが、これまでとは別の発想が浮かび、別のチャレンジがあなたの目の前に広がるようになります。
 実際、私も何も持っていない時期と今とでは、頭の動き方も、発想の仕方もまるで違います。野球部監督のときと比べてももちろん、大起建設のときと比べても、やりたいこと、やろうとしていること、そして発想の規模……すべてがまったく変わってしまいました。
 これまでだと「バカだと思われるから言わないようにしておこう」と思っていたことを、今は堂々と口にしている自分に驚きます。
 余裕は人を変えるのです。余裕はあなたの頭の中も、頭の使い方も変えていきます――そのことを胸に刻んで、次の章からはじまる実践的不動産投資について学んでいってもらえると幸いです。

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